"さよならを言うたび 私は少し死ぬの―" Natalie Coleが車窓を溶かすように歌う。
 「一人に?」誰か問うたようだった、いいえ、と遠ざかる夜景が答えた。
 アスファルトが透き通っていく。滑る、その境界を―
 雨足が強まった。吸血鬼がロンドンへ恭しく挨拶をする。



[2009.11.23]






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